丁種封印再々委託とは?

ナンバープレートの封印
そういえば銀色のキャップのようなものが付いていることを思い出された方、多いのではないでしょうか?

封印とは、車を後ろから見たときに、ナンバープレートの左上の部分、ナンバープレートを固定しているボルトに被せてあるアルミ製のキャップのことです。

封印の表面に刻印されている文字は、各都道府県の運輸支局の頭文字です。

以下を満たした上で、ナンバープレートを取得しましたということの「証」です。

  1. 各都道府県の運輸支局で、車の登録が正式になされていること
  2. 自動車検査登録制度(いわゆる“車検”)で、国が定めた保安基準を満たしているかの確認が取れていること
  • 車両の盗難防止(封印が外れている、破れている場合、盗難車の疑いがあります)
  • ナンバープレートの盗難防止

封印を取り外してしまうと、道路運送車両法(適正・適法な車両で運行をしてもらうための法律)による罰則が適用されます(例外として、整備などやむを得ない事由がある場合は取り外し可能です)。

封印の取り付けは、実は誰でもできるわけではありません。

封印の取り付けを国から委託されている人「封印取付受託者」は、事業形態や委託範囲によって「甲種」「乙種」「丙種」「丁種」の4種類に分類されています。

  • 甲種:ナンバープレートの交付代行者(各都道府県の運輸支局)
  • 乙種:型式指定車の新車販売業者(大手自動車メーカーなど)
  • 丙種:各都道府県の中古車販売協会
  • 丁種:各都道府県の行政書士会

私たち行政書士は上記のうち「丁種」に所属していますので、「丁種封印取付受託者」となります。(行政書士が封印を取り付けることを「丁種封印」といいます。)

ただし、行政書士なら誰でも封印取り付けができるというわけではありません。行政書士が「丁種封印取付受託者」になるには・・

  1. 各都道府県の行政書士会による業務研修を受講
  2. 効果測定テストに合格
  3. 損害賠償保険に加入する(高額な車両もあるため、傷を付けてしまった場合等に備えて・・)
  4. 各行政書士会から丁種会員名簿に登載される

・・という段階を経る必要があります。

  • 新車/中古車新規登録
  • 変更登録(婚姻、引っ越し等による名義人の氏名や住所の変更登録)
  • 移転登録(売買や譲渡などによる名義変更登録)
  • 封印の再交付・交換・再封印(整備など、やむを得ない事由がる場合の取り外し)

行政書士が行う封印の取り付けは、国から都道府県の行政書士会へ・行政書士会から行政書士へ・・という2段階で委託、つまり「再委託」されています。

国 --(委託)--> 都道府県の行政書士会 --(再委託)--> 行政書士」ということですね。

では「再々委託」とはどういうことかというと、「国から再委託された行政書士が、さらに別の行政書士に委託すること」です。

国 --(委託)--> 都道府県の行政書士会 --(再委託)--> 行政書士A --(再々委託)--> 行政書士B」という流れですね。この「再々委託」を、丁種である行政書士間で行うことを「丁種封印の再々委託」と呼ぶわけです。

丁種封印の再々委託」は、自動車の登録地と封印を取り付ける場所とが遠く離れている場合に大きくコストを削減できる制度になります。

具体例として、東京都にある車を大阪府在住の方に販売する場合について考えてみます。車を使用するのが大阪なので、大阪の運輸支局で登録し、ナンバープレートと封印取り付けを受けることになりますが、そのためには・・

  1. 車を積載車に載せて、東京の販売店から大阪の運輸支局に移送する
  2. 大阪の運輸支局でナンバープレートと封印の取り付けを行う
  3. 車を積載車に載せて、大阪の運輸支局から東京の販売店に移送する

・・という手順が、かつては必要でした。東京-大阪間の往復の時間・陸送費用・陸送中の事故や飛び石などによる傷等のリスクが発生します。

では、「丁種封印の再々委託」の制度を利用すると・・

  1. 大阪の行政書士が、大阪の運輸支局で自動車登録の手続きを行う
  2. 大阪の行政書士が、東京の行政書士に「丁種封印の再々委託」をして、車検証・ナンバープレート・封印などの必要書類を送る
  3. 東京の行政書士は、送付された「大阪の封印」を東京で取り付ける 

・・という流れになり、大阪の運輸支局に車を持ち込む必要がなくなるのです。つまり、東京-大阪間の車の移送を一切行わずに封印取り付けができるというわけです。

このように、封印のための陸送にかかる往復の時間・陸送費用・事故や損傷のリスクを回避できるのが「丁種封印の再々委託」の最大のメリットです。